本記事では、ICT開発における「組み込み」という概念を活用して、現代のクルマ、特にGRヤリスなどに実装された電子制御の仕組みと課題を考察します。電子制御の違和感やチューニングに興味がある方、「なぜこんな制御になっているのか?」と疑問や不満を抱く方にとって、一つの解答になるかもしれません。理屈コネ太郎の独断と偏見による視点であるため、私見としてお楽しみください。
Contents
組み込みとは何か?
組み込みとは、ハードウェアに特化したソフトウェアを統合し、特定の機能を実現する技術です。家電、自動車、医療機器などで広く使われており、現代のクルマではこれが「電子制御」として機能しています。
クルマにおける組み込みソフトウェアの開発は、非常に分業化されており、元請け・下請けの多層構造の中で行われます。特に下流工程では、手作業でコードが記述される場合が多く、一部のコードはライブラリと呼ばれる既存のコード群から移植されます。これにより、開発者以外がコードの内容を完全に把握できない属人的な構造が生じます。
なぜトラブルが起きるのか?
組み込みソフトウェアが市場に出た後にトラブルを起こす主な原因は、「想定外の使用」にあります。設計段階では多様な条件を想定して開発が進められますが、エンドユーザーの実際の使用がその範囲を超えると、電子制御に不具合が生じることがあります。
その背景には以下の要因があります:
- 想定条件を設定するのが自動車メーカーではなく、外部の開発者や下請け企業である場合がある。
- ECU書き換えなど、リリース後にユーザーが行う行為は、開発者にとってシステムへの「侵入行為」と見なされること。
- 組込み制御の最大のキモは、作動を乗っ取られないようにすること。
特にECU書き換えは、作動を乗っ取る行為でもあり、場合によっては道交法違反や著作権法違反の可能性もあり、メーカー側が強力な防護策を講じています。
組み込みシステムの修正はなぜ難しいのか?
市場にリリースされた後に判明した不具合の修正が困難な理由は、以下の通りです:
- クルマには膨大な行数のコードが組み込まれており、その中から問題箇所を特定するのが非常に難しい。
- 開発者本人がプロジェクトを離れている、あるいは退職している場合がある。
- 誰がコードを書いたのかすら把握できないケースもある。
加えて、異常が電子制御だけでなく、センサーや基板、エンジン、トランスミッションなどの物理部品にまで影響を及ぼすことがあります。この場合、ソフトウェアの修正だけでは解決せず、部品交換が必要になります。
ダイアグノーシスでは想定外の異常を検知できない
電子制御の診断に使われるダイアグノーシスは、基本的に想定内の異常のみを検知する設計です。そのため、想定外の使用による不具合は診断できない場合が多いです。さらに、診断機自体が組み込みシステムで制御されているため、開発上の制約を受けています。
想定外の使用がもたらす影響
本来の設計思想とは異なるコード書き換えなどによる想定外の使用によって異常が発生すると、システム内部で異常信号や電流が発生し、センサーや回路に物理的損傷を与えることがあります。場合によってはエンジンやトランスミッションなど、機械部品にも損傷が及ぶことがあります。これが、クルマの電子制御が正常作動しなくなる理由の一つです。
組み込み技術を考慮したカスタムのリスク
組み込みソフトウェアを解析・改変してECU書き換えやカスタムを行うことは、リスクを伴います。作動保証や修理保証がない状態での改変は、クルマ好きにとっても大きな賭けとなります。また、開発サイドでは外部からの侵入を防ぐため、セキュリティ対策が強化されています。
筆者自身はリスクを避けるため、吸排気系を含めたエンジン出力に関わる部分は「吊るし」(出荷状態のまま)で使う方針ですが、リスクを承知の上で挑戦するクルマ好きには敬意を抱いています。
まとめ:クルマをどう楽しむか
現代のクルマは、非常に複雑な組み込み技術によって動いています。開発プロセスや電子制御の仕組みを知ることで、カスタムやチューニングの限界とリスクを理解できます。
クルマ好きが既存の手法で楽しむには、開発者の意図や制約を理解することが重要です。これまでのようなマップの書き換えのような手法は、安全保障も視野に入れた作動乗っ取りプロテクトがかかっている今後売り出される車両にはなかなか通用しなくなるでしょう。
しかし、規制が緩かったちょっと古いクルマでならば、この手法はまだまだ有効であり、周辺部品の素材や工作技術の進歩によって、これから出てくる市販車を凌ぐチューンドマシンや、あるいはネオクラシックなクルマの外見だけ真似た中身は全然別のマシンが出現するかもしれません。それはそれで愉しみです、
今回は以上ん。
本ページは、『GRヤリス愛好家必見!オーナー目線の国内最大級オリジナル記事集』の下位ページです。上位ページに移動したい方はココをクリックして下さい。
本ページの上位ページである『GRヤリス愛好家必見!オーナー目線の国内最大級オリジナル記事集』の更に上位ページは『当サイト内記事トピック一覧』です。このページが当サイトのコンテンツ構造上の最上位ページです。ココをクリックすると移動できます。『当サイト内記事トピック一覧』からご希望に沿って下っていけば、当サイト内の全ての記事を閲覧可能です。